• 2026年度(令和8年度)診療報酬改定の全体像~訪問看護ステーションが押さえるべき4つのポイント~

    2026年4月14日

    2026年(令和8年)6月に施行される診療報酬改定。今回の改定率は全体で**+3.09%**(令和8・9年度の平均)となり、医療従事者の処遇改善や物価高騰への対応に手厚い配慮がなされた一方、集合住宅への訪問や短時間訪問には厳しい適正化のメスが入る「メリハリの効いた改定」となりました。

    今後の訪問看護ステーション経営において、絶対に押さえておきたい4つの重要ポイントを解説します。

    1. 処遇改善の推進:ベースアップ評価料の大幅拡充

    物価高騰に負けない「スタッフの持続的な賃上げ」を実現するため、ベースアップ評価料が拡充されました。 これまで算定ハードルを感じていたステーションも取り組みやすくなるよう、要件が見直されています。

    • 訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の引き上げ: 現行の780円から1,050円(新たに賃上げを行う施設)へと引き上げられ、次年度(令和9年度)はさらに倍増する予定です。
    • 物価対応分の新設: 賃上げだけでなく、ステーション自体の光熱費や運営コスト高騰に対応するための評価も組み込まれています。

    2. 医療DXの本格化:ICT活用が加算の対象に

    医療現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が、訪問看護にも本格的に到達しました。

    • 【新設】訪問看護医療情報連携加算(月1回:1,000円): 利用者の同意を得た上で、ケアに関する記録や急変時の治療方針などをICTを用いて記録・共有した場合に算定できる新しい加算です。
    • D to P with Nの推進: 医師がオンライン診療を行う際、訪問看護師が利用者の自宅でサポートする「D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)」の取り組みが新たに評価されます。

    3. 「同一建物居住者」への訪問に対する評価の細分化・適正化

    今回の改定で最も経営に直結するシビアな変更点が、高齢者住宅など「同一建物(集合住宅)」への訪問に対する評価の見直しです。

    • 人数区分の細分化による減算強化: 訪問看護基本療養費(Ⅱ)が、「同一日に2人」「3人〜9人」「10人〜19人」「20人〜49人」「50人以上」と細かく区分されました。同一日に訪問する人数が多いほど、報酬点数が段階的に下がる仕組みが強化されています。
    • 【新設】包括型訪問看護療養費: 大規模な施設への訪問に対して、訪問時間(30分〜60分、60分〜90分など)と単一建物居住者の人数に応じた新しい報酬体系が設けられました。

    4. 頻回な短時間訪問の厳格化

    いわゆる「見守り」に近い短時間訪問の繰り返しや、不必要な早朝・夜間訪問への規制が強化されました。

    • これまでのように「指示書があれば算定できる」という状態から適正化が図られます。頻回な訪問を行う場合は、主治医の訪問看護指示書に「なぜその頻度が必要なのか」「どのような具体的なケアを行うのか」を明確に記載することが厳格に求められるようになります。

    まとめ:これからの訪問看護ステーションに求められること

    2026年度改定は、国からの**「質の高いケアを提供し、スタッフに還元する事業所は評価するが、過剰サービスや囲い込みには厳しく対処する」**という強いメッセージです。

    最新のICTツールを導入して業務効率と連携の質を高めるとともに、「ベースアップ評価料」を確実に算定してスタッフの定着・採用強化を図ることが急務となります。また、集合住宅メインで展開されている事業所は、収益シミュレーションの再計算とビジネスモデルの見直しが必要になるかもしれません。

    地域を支える訪問看護の価値をさらに高めていくために、この改定を「組織の体制強化」のきっかけにしていきたいですね!